タイトル曲のテーマは、驚くほど単純だ。楽譜に書き起こしても、4分音符が
やたらと目立ち、たまに8部音符があるくらい。
オタマジャクシは随分少ないのだが、かといって、曲想が貧弱であったり
これによってインスパイアされるアドリブがツマランかと言ったら全く逆。
「これでもか、これでもか」と、ブルースのフレーズが出るわ出るわ。
ジャズの持つ奥深さと摩訶不思議を実感できる曲なのです。
マイルス・デイヴィスは『ウォーキン』も録音しているが
本作品は、それとは一味違った内容となっている。
ソニー・ロリンズやホレス・シルヴァーが参加した6月のセッションでは「エアジン」「ドキシー」
「オレオ」など、ソニー・ロリンズのオリジナル曲が好んで取り上げられ、ソニー・ロリンズ色の濃い
内容になっている。
この事は当時、マイルス・デイヴィスがソニー・ロリンズに寄せていた全幅の信頼を象徴しているが
もう1つの年末のセッション、俗に言う“クリスマス・セッション”では、セロニアス・モンクの
参加によって、異様な緊張感が張り詰めたスリリングな演奏になっている。
音楽性の違いからか、それとも、あらかじめそうしようと話し合われていたからかおいらには知る由も
ないのだが、マイルス・デイヴィスとセロニアス・モンクが互いを意識し、ピリピリした雰囲気を
醸し出す事で“稀代の名演”が生まれたわけだ。
バグス・グルーヴ/マイルス・デイヴィス
バグス・グルーヴ/マイルス・デイヴィス に加筆・修正を加え転載。
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